日本銀行本館

皆さんも日本で一番大きな繁華街といっても過言ではない銀座のことはご存じかと思います。しかし、金座はご存じでしょうか？金の製造工場、事務所、そして金の製造の責任者であった役人の邸宅、これらすべてを合わせて金座と呼ばれていました。これに対して銀の製造を行っていたのが銀座となります。この金座はちょうど現在日本銀行本館が位置している場所にあったとされており、歴史的にも貨幣に縁の深い土地となっているのです。

日本銀行本館では無料の見学ツアーが用意されています。事前予約制で60分のコースとなっており、本館中庭をはじめ地下金庫の扉であったり、展示室を専属ガイドの方の解説付きで見学することができます。1日に4回行われていますが、定員は各回20名で先着順となっているので、興味のある方は余裕を持って予約を行うことをおすすめします！日本銀行に隣接する貨幣博物館も無料で見学をすることができるので、こちらも合わせて見学すると日本のお金の歴史などについて深く学べます。

日本銀行の旧館は重要文化財となっています。建物の設計を行ったのは東京帝国大学（現在の東京大学）の辰野金吾博士で、日本銀行の支店（大阪など9店舗）も設計を行いました。辰野博士は欧米各国の銀行建築の調査を行い、イングランド銀行などを模範に日本銀行を設計したと言われています。1923年の関東大震災では東京都内の建物多くが倒壊してしまいましたが、日本銀行はびくともしませんでした。「辰野堅固」の異名を持つ辰野博士は堅固ですばらしい建築物を現代の日本に残したのです。

石積みレンガ造の威厳ある外観。これってどこかで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか？日本銀行を設計した辰野金吾博士は東京駅の駅舎の設計も行っており、なんとなく東京駅に似ていると気づく方が多いようです。日本銀行の正面正門には2頭の雄ライオンが6個の千両箱を踏んで後ろ足で立っている紋章が見えます。そして、抱えるのは日本銀行のシンボルマークである「めだま」。外観の細部に至るまでこだわり抜かれた名建築です。

日本銀行を上から見ると、「円」の文字になっていると言われています。しかし、これはあくまで偶然であると考えられています。日本銀行が建築された当時は「円」ではなく、旧字体の「圓」が用いられていました。このことからも設計者の辰野金吾博士が「円」を意図したわけではないと考えられています。なかなか上から見る機会はないかと思いますので、見学ツアーなどで「円」の文字を体感してみてはいかがでしょうか。