大観峰

大観峰は、立山の山腹の断崖に立つ駅。標高2,316mに位置し、黒部平駅との間をつなぐ立山ロープウエイが最大の目玉となっています。ロープウエイからは眼下に黒部湖と後立山連峰を望み、季節ごとに移り替わる大自然の彩を360度楽しめる、まさに空中展望台です。実は、ロープウエイの乗り場間には支柱がありません。雪深い立山では、雪に飲み込まれ柱が折れてしまう恐れがあるため、あえて支柱を作らない「ワンスパン方式」で作られています。そのおかげで、乗車中にも視界を遮るものがなく、正真正銘360度のパノラマビューが楽しめるのです。乗車時間はおよそ7分間ですが、短いような長いような、人によっては感想は違いますが、別の季節にまた訪れたくなり、リピーターが多いのも納得の体験ができますよ。

大観峰の駅は岸壁にあることから、安全上屋外に出ることはできません。ですが、駅の屋上にはテラスがあり、ロープウエイに乗らずとも素晴らしいパノラマビューを味わうことができます。テーブルとベンチがあるので、ゆっくりと澄んだ空気を味わい、美しい山並みを目に焼き付けてください。黒部平の駅にも同様に屋上テラスがあります。こちらは周囲を散策できる遊歩道もあり、高山植物の観察や軽いトレッキングを楽しむこともできますよ。

大観峰駅、屋上のテラスに降り立つと、眼前には後立山連峰（うしろたてやまれんぽう）が広がり、壮大なパノラマビューに圧倒されます。後立山連峰とは、富山県側から見て立山の背後に連なる飛騨山脈中の連峰をさし、どれも3000mに近い山々です。大観峰の標高は2316メートルなので、それらの山々の稜線とだいたい同じような高さ。つまり、大観峰からの眺めは雄大な北アルプスの山頂レベルと言えるのです。

黒部湖とは、富山県と長野県の県境付近にあり、黒部川のもっとも上流にある黒部ダムのダム湖。映画『黒部の太陽』（昭和43年公開）で全校的に知名度が上がりました。ダム湖百選にも選ばれている、エメラルドグリーンの美しい湖です。大迫力の放水を間近で観るのもいいですが、大観峰の雲上テラスや立山ロープウエイの中から見下ろす黒部湖もまた格別です。季節ごとに彩られた山々に囲まれ、ぽっかりと浮き上がる宝石のような湖。いろんな角度から鑑賞してみてくださいね。

魅力溢れる大観峰。どの季節も感動的な自然美との出会いが叶いますが、特に多くの人々を魅了し、観光客が押し寄せるのが秋の紅葉シーズンです。大観峰の紅葉は、木々が色づく一般的な紅葉とは違い、山肌と大地が染まり、まるで一面に秋色の絨毯が敷き詰められたようになります。絨毯の正体は高山植物。ダケカンバやナナカマド、ヤマウルシなどの木々です。このエリアの紅葉の見ごろは9月下旬～10月中旬ごろ。一生に一度は見たい絶景ですよ。

最高20メートル程になる雪のトンネルが人気の立山の春の風物詩「雪の大谷ウオーク」。立山の4～6月の時期は、大観峰もまだ雪に覆われています。雪のトンネルを楽しんだ後は、大観峰にてロープウエイに乗車できます。一面を雪に覆われ、周りを取り囲む山々もまだ雪を纏っており、夏期とは全く異なる自然美が待っています。